弾性ゴムの種類
ゴムは伸縮性に優れた高分子材料であり、ゴムノキの樹液(ラテックス)によって作られる天然ゴムと、人工的に合成される合成ゴムが存在する。天然ゴムがクリストファー・コロンブスによって西欧に伝えられ、グッドイヤーやダンロップなどの研究開発がゴム工業を発展させた。
天然ゴム
天然ゴム(NR)はゴムノキの樹液に含まれるcis-ポリイソプレン[(C
5H
8)
n]を主成分とする物質であり、生体内での付加重合で生成したものである。樹液中では水溶液に有機成分が分散したラテックスとして存在し、これを集めて精製し凝固乾燥させたものを生ゴムという。生ゴムも弾性材料として消しゴムなどに使われるが、硫黄による加硫により架橋させると広い温度範囲で軟化しにくい弾性材料となる。この加硫法による弾性改良はチャールズ・グッドイヤーにより1839年に発見された。硫黄の他に炭素粉末を加えて加硫すると特性が非常に改善され、その含有量によって硬さが変化する。多くの硬質ゴム製品はこの炭素のために黒色をしている。なおイソプレンを化学的に重合させたポリイソプレンは合成ゴムの一種であるが、天然ゴムのポリイソプレンとはいくらかの構造的違いがある。まず合成ポリイソプレンでは現在のところ100%シス体を得ることはできず、少量のトランス体が含まれている。また天然ゴムはポリイソプレンの他に微量のタンパク質や脂肪酸を含むが、合成ポリイソプレンにはそのような不純物はない。天然ゴムは殆どシス型のポリイソプレンから出来ているが、その一方トランス型のポリイソプレンから出来ているものをガタパーチャ乃至はグッタペルカと言う。ガタパーチャは東南アジアに野生するアカテツ科の常緑高木グッタペルカノキ(Palaquium gutta)等のラテックスから作られる天然樹脂の一つであり、天然ゴム、ガタパーチャ双方ともポリイソプレンから出来ているが、天然ゴムは弾性を示し、グッタペルカは弾性を示さない。この弾性の違いは幾何異性体の性質によるものである。即ち、シス型のポリイソプレンは分子鎖が折れ曲がった構造をとって不規則な形を取りやすく、分子鎖と分子差の間に多くの隙間を生じ分子間力が比較的小さくなる為、分子同士の結晶化が起こらず軟らかな性質を持つようになるが、それに対してトランス型のポリイソプレンは分子鎖が直線構造をとりやすく、分子鎖と分子鎖の距離が近くなる為、分子間力が強く作用し分子間で微結晶化を引き起こし、硬い樹脂上の物質となる。但し、シス型であることは弾性の獲得の十分条件ではない。ポリイソプレンにおいては側鎖であるメチル基の影響もあり弾性を持つのはシス型であるが、例えばクロロプレンゴムはトランス型であるが弾性を有する。天然ゴムに含まれる微量のタンパク質や脂肪酸はポリイソプレン鎖の末端に結合していると考えられている。このタンパク質はアレルゲンとなることがある。(外部リンクの長岡技術科学大学化学系の天然ゴム研究を参照)。日本では天然ゴムをマレーシア、インドネシア、タイ王国|タイなどから輸入している。
合成ゴム
合成ゴムには、ポリブタジエン系、ブタジエン・アクリロニトリル系、クロロプレン系などがある。いずれも付加重合または共重合によって得られる。
アクリルゴム(ACM)
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム NBR)
イソプレンゴム(IR)
ウレタンゴム(U)
エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)
エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)
クロロプレンゴム(CR)
シリコーンゴム(Q)
スチレンブタジエンゴム(SBR)
ブタジエンゴム(BR)
フッ素ゴム(FKM)
ポリイソブチレン(ブチルゴム IIR)