概要
ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた素材である。軽量かつ断熱性に優れ、また極めて成型や切削しやすく、安価で弾力性があり衝撃吸収性にも優れるので、破損しやすい物品の緩衝・梱包材(→包装・緩衝材)として用いられる他、断熱性を利用して保温・保冷が必要な物の断熱に用いられる。ポリスチレンは炭化水素なので、燃やすと水と二酸化炭素になる。しかし常温・大気中で燃焼させると、不完全燃焼を起こし大量の煤を発生させやすい。
種類
製法が3種類あり、化学的にはほぼ同じだが形状や気泡の特性が違うため、用途も異なる。
ビーズ法発泡スチロール (expanded polystyrene、EPS)
ポリスチレンペーパー (polystylene paper、PSP)
押出ポリスチレン (extruded polystyrene、XPS)
EPSが最初に開発されたこともあって最も広い用途で利用されているため、EPSを特に「狭義の発泡スチロール」という場合があり、それ以外のPSPやXPSを含め「広義の発泡スチロール」とも表現する。ただしこれらは製法が異なるだけであるため、いずれも「発泡させたポリスチレン」である。ただ性能を追加するために加えられた添加剤により一緒にリサイクルできない場合もあれば、見た目は似ているが別の合成樹脂を発泡させた素材の#発泡ポリプロピレン|発泡ポリプロピレンもあるため、リサイクル上の区分には注意が必要である(#リサイクル|後述)。性質
発泡による特性
断熱性が高い(断熱材としての利用)
軽量
耐衝撃性が高い(ただし、質量比での比較)
ポリスチレンとしての性質
白色(顔料を素材に混ぜ込むことで着色は可能)
耐熱性は低く、約90℃
燃えやすいが、難燃剤を添加して改良可能
耐水性が高い
テルペン油・エゴマ油・シソ油など一部の食用油や柑橘類に含まれるリモネン、ベンジン・シンナーなどの有機溶媒に溶ける。
アルコール飲料と長期間接すると味を変質させることがある。なお耐熱性の低さは逆に加工性を高めており、ニクロム|電熱線に乾電池からの電流を流して発生させた熱(ジュール熱)を使って小さな力で切断する器具もあり、様々な手芸用・または短期間展示される彫刻(宣伝用POPなど)の材料としても利用される。接着に関しては熱による接着もできるが、広い面積どうしでは木工用ボンドなどの有機溶剤を使っていない粘着性の接着剤で接着できる。また危険な中毒性のある有機溶剤を含まない専用の接着剤もある。このことからも、安全に工作できる要素であるため前出の手芸用材料として好まれる。有機溶剤を含む接着剤では簡単に溶け、また体積の大部分が気体である事から侵食されたようになってしまうため、有機溶剤を利用した接着剤の使用は向かない。同様の理由によりマジックインキ等の油性塗料での塗装もできない。多孔質で木材に性質がよく似ている(ただし浸透性はない)ので、水溶性の塗料も一定の粘度さえあれば、比較的顔料が乗りやすいため、塗装に使える。特に塗装の際には、表面を紙やすりなどで削り、その上から塗装する事も行われる。1980年代以降に普及した水溶性樹脂塗料等は馴染みがよい。